自然農法 わら一本の革命 福岡正信

この本は昔から、サラリーマン時代の頃から、何度も読み返した本でした。
そのころは、福岡さんという成功例があるのに、何故皆真似してやらないのだろうと不思議に思っていました。 しかし、その後実際に農業をやってみて生産者の立場に立ってみると、ここのところが良く了解できます。

農業はあくまでも職業ですから、つまり論点は、そうやって儲かるかどうか、という一点にあるのです。
ちんたら五反位の自然農法をやった収入で暮らしていけるか、ということである。
検討するまでもなく、慣行農法で大面積やった方が絶対に売り上げはあがるのである。

例えば例に小豆を取り上げよう。小豆は相場ものだからその年によって値段は上下するが、例年の生産者引渡し価格は、一俵・60Kgで約二万円。豊作の年は少し下がって一万五千円位。
昨年は極端に不作の年だったので、価格が跳ね上がり、一俵、生産者引渡し価格が三万円、一般業者の買い入れ価格は四万円だった。
この年八反の小豆の作付けをしたが、買入価格はTKgあたり七百円、一俵四万二千円の値段しか付かなかったのである。昨年は有機JASの認証も取得していなかったので、自称無農薬ではなんともならず、まったくの慣行扱いであった。
小豆は除草剤を使用する慣行農法でも手のかかる作物である。
マメ科以外に効果のある除草剤しか使えない為、その後の手取り除草作業は二回ぐらい必ずおこなわなければならないからです。
無農薬の場合は更に悲惨なことになります。小豆はタッパ(背丈)が低い為にいつまでも草が切れず、収穫する直前まで除草しなければならないのです。三倍以上の手間がかかります。
ではこうして苦労して作った豆が、慣行の三倍で売れるか、というと、これは無理でしょう。
価格設定はせいぜい慣行の1.5倍位までとされているからです。
三倍苦労して1.5倍にしかならないんであれば、これは誰が計算してもすぐわかる。
慣行で楽して大面積やった方が収入的には絶対良いからです。

自然農法を完成させた福岡翁をすごいなぁと思うのは、農業とは縁の無い町の人間だけでしょう。
勿論、翁は農家というよりは、老荘のような哲学者でありますから、なかなか農業の生産現場に身を置く者としては、とっつきにくいのかも知れません。

やはり、自然農法とは、単なる農法の一つではなく、人としての生き方そのものです。
自然農法を実践する場合には、それに合わせて思考・食生活・生活習慣の全てを改革していかねばなりません。まさに「革命」なのですから、当然それには変革の辛さが伴います。
さすがにそこまでしてまで、自然農法にこだわったって仕様が無いというのが正直な判断かもしれませんね。

自然とは何か?
自然にこだわるのであれば、自然に生っているものを狩猟採取して生きている未開原住民の生き方以外には無い、と思います。
そもそも、田畑は自然を破壊・開墾して作られた人工的な栽培地です。
そこで人間にとって有利なものだけ、栽培作物のみを作り続けます。
ある意味、農業とは自然のようであって、実はきわめて反自然的であって始めて成り立つもの、という見方もできるかもしれません。

「自然農法」とは、できるだけ自然に則した農法、という捉えかたで、とりあえずは良いのではないかと思っています。
本の中には、自然農法の四大原則が書かれています。
不起耕・無肥料・無農薬・無除草です。
翁も、何十年もの試行錯誤の末にやっと完成された自然農法です。
そう簡単に自然を理解し、見極める事は難しいことと思います。
でもこの道を目指して、この原則から出発してみようと思います。

来年はいよいよ六年目に突入します。
自然農法への挑戦です。

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