2006年、今年の栽培の反省

今はまだ今年の栽培の途中ですが、作物の生育状況を見ながら色んな事を考えました。
(06/7/26)
何故生育不良になるのか 
圃場の北西側の一角、
左側が麦(オーツ・小麦・大麦)
真ん中が赤あわ
右側が穂ひえです。

この一角には米糠・有機肥料をほぼ
同じ程度施用しており、条件的には
同じくらいなのですが、作物によって
良・不良の差がはっきりと出ました。
穂ひえは良。 ここは昨年粟を栽培した跡も
含まれ、もともと地力不足のところなので
どうかなぁと思っていたのですが、そんな事は
物ともせずに立派に成育しました。
生育がこじれてしまった赤あわ。
育苗は上手く行ったのですが、定植後は
上手く育ちませんでした。
「こんな所では生育できないよぉ〜」
と言っているのは確かなようです。
麦は、オーツが半作程度でかなり悪く、小麦は葉色が多少悪い程度、大麦はまったく
影響が無く生育は良。 同じ麦でも種類によって生育に差が出ました。

作物の養分吸収機構と輪作

問題は、栽培する作物によって何故こんなに生育に差が出るのだろう?という事です。
どうも作物はそれぞれ独自な養分吸収機構があり、それが生育の差になって現れるようです。

そば
去年のこきび栽培跡に蒔いた韃靼チベット
去年のこきびはだいぶ生え切れしてしまった
場所ですが、きれいに生え揃っています。
場所によって多少のバラつきはあるものの
生育は良好です。
勿論米糠もなし、無肥料栽培です。
こちらは「北早生そば」
とにかくそばは生え切れするという事が
ありません。場所を選ばず種さえ蒔けば
必ず発芽して生育します。
特に肥料を蒔く必要はありません。

そばは窒素を吸収する場合、陰イオンを持つ硝酸(NO3−)よりも陽イオンを持つアンモニア
(NH4+)を好みます。 そばの根から水素イオン(H+)が放出されると、マイナスに荷電している
土賞粘土表面に吸着しているアンモニアは、それと入れ替わって粘土粒子表面を離れそばに吸収
されていきます。 この水素イオンが酸性の本体であるので、当然の結果としてソバの根圏土壌の
PHは低下して行きます。
このようにソバは根圏土壌を酸性に変えることによって結晶化が進んで難溶性となったカルシウム
型リン酸を吸収できる作物なのです。

リン酸は初期成育には欠かせない必須要素ですが、人為的に利かせる事が難しい要素といわれ
ています。特に作物のリン酸吸収は地温が低い場合に著しく低下し低温の被害を大きくしてしまう
ので、作物がいかにリン酸を吸収できるのかは特に寒冷地においてはとても大事なポイントに
なってきます。 ソバが低温も場所も選ばず生育できるのはこんな能力を持っているからなのです。

そばはこのようにとても高い環境適応力を持っているため、菌根菌非共生植物です。
多くの植物は菌根菌(土壌の微生物)と共生関係にあり、お互いに助け合いながら生命活動を
営んでいるわけですが、ソバはこのような独自な養分吸収能力を持つため、、菌根菌に助けてもら
う必要がない訳です。更に有機態養分の直接吸収能力もあると考えられています。
菌根菌非共生植物には、ソバの他にはヒユ科のアマランサス、他があります。
              (参考文献 現代輪作の方法 有原丈二著 農文協 )   

なるほどねぇ。 アマランサスも確かに土地を選ばすどこでも生育します。
種は本当に小粒で種とも言えない位に小さなものですが、アレヨアレヨと言う間に2m近くに
なってしまいます。 生命力旺盛なのは独自な養分吸収能力を持っているからなのですね。
いつも不思議に思っていましたのでとても納得が行きます。
更にそばは後作の作物にも良い影響を与えるようで、一昨年北早生ソバを栽培した跡に去年
采豆と大豆を播種しましたが、確かに良い出来で、特に白鶴の子大豆は素晴らしい生育でした。
各作物の特徴を理解して上手に輪作すると良い効果が期待できそうです。

作物の三タイプ 
まあ、難しい事は研究者の方にお任せするとして、畑で栽培する作物を三つのタイプに分けてみました。
 タイプT そば・アマランサス・ひえ・豆各種(金時は除く)
       場所を選ばず蒔けば生えて収穫できるもの。

 タイプU きび・オーツ麦
       ある程度肥沃でなければ生育しないもの。十分注意しないと生え切れする。

 タイプV あわ・金時豆
       かなりの肥沃度がなければ生育しないもの。収穫が極めて難しい。

以上はあくまでも私の畑での分類ですが、例えば豆類はほとんど無肥料で栽培可能なのですが、
何故か金時豆は上手く成育しません。 逆に小豆はどこに蒔いても生育します。
土地にはそれまでどのように使われてきたのかの履歴があるわけですから、このようなクセを持っ
た土地なのだという事だと思います。

この三つのタイプを例えて言えば、こんな感じ。
タイプVはお嬢様。 テーブルクロスをきれいに敷いてナイフとフォークを用意して美味しい料理を
作って出さないとお食事ができないご令嬢。
タイプTは腕白小僧。食べる物がなければ自分で台所に行ってラーメンでもチャーハンでも自分で
勝手に料理して食べるチャッカリタイプ、とにかく手がかかりません。 タイプUは、まぁ普通の子供です。ある程度面倒みてやれば良い、という感じでしょうか。
あわはタイプVのお嬢様ですから、とにかく上げ膳据え膳で面倒見てあげないと収穫に至りませ
ん。 あわの収穫が難しいのはどうもこの点にあるのではないかと思います。

しかし雑穀の中であわの栽培が難しいという話は今まで聞いたことがありません。
化学肥料を使用する場合には雨に溶ければとりあえずは養分として供給する事ができるので
それほど難しい作物ではないのかもしれません。 
農文協発行の「健康食 雑穀」という本のあわの項にはこんな記述があります。
「畑の準備と播種、 ヒエよりも多肥を好む。リンサンは最も重要で10アールあたり成分量
で8キロ程度を与える。堆肥や消石灰の施用効果も高い。カリは6キロ、窒素は4〜6キロの
加減が必要。」

今は高度化成という肥料があります。成分量が更に高い化成肥料です。
これらを少し多めに蒔いてやればそれで済む話で特別難しい事ではないのかもしれません。
だから「あわは難しい」という話は聞かないのかもしれません。
しかし化成肥料を使用しない場合は誤魔化しができないため土地の状態がモロに出てしまう。
リンサンが最も重要とされているのは、粟はそばのような独自なリン酸吸収機構を持たない作物
なのだと思います。だからきび・ひえに比べると極端に初期生育が遅く、それを助ける為にとにかく
リンサンを多投するという事になっているのだろうと思います。
米ヌカをただパラパラと蒔くだけの「米糠パラパラ農法」で収穫するのはとても難しい作物であると
言わざるをえないと思います。

ではどうするかと言うと、出来ない物は無理して作らないというのが基本です。
今年からは手無し金時を蒔くのは辞めましたし、つる金時も今年はあまり良くないので来年は
蒔かないつもりです。 無農薬・無化学肥料・米糠パラパラという限定した中でやっているわけです
から何でも栽培するというわけにはいきません。 こうしたやり方でも収穫できる物に限って栽培
していくというのが無理の無いやり方です。
あわも作れないなら無理して作らない。 面積も5a程度にして捨て作り、取れたら儲けものという
程度のスタンスで行くのが正解だと思います。

だがしか〜し、バーズレストランのコーナーでは沢山の方に会員登録をして頂いております。
せめて会員さんの分だけでも何とかしたい。取れませんでしたと断るのはとても辛いものがある・・。
ではどうしたらよいか、とにかく粟が取れるように土地を肥沃化する以外にはありません。
土地を肥沃化する為にはどうしたら良いのだろう?  いやいや真剣に考えましたよ。

そこで丸さんは考えた
やっばり「土づくり」だね。 いやはや真にお恥ずかしい話だが今まで「土を作る」なんてあまり真剣
に考えた事がなかった。 そこまで考える余裕もなかったのかも知れない。
まぁ全然取れないということもないのだし、ひえ・きびー豆ーその他の雑穀(ひまわり・えごま等)の
三年輪作なら今まで通りの「米糠パラパラ農法」で何ら問題はない。
採れない物は除外していくというのもひとつの方法であるし、無理も無いので楽である。
しかし、粟は何としても採らねばならない。圃場全体を改良するわけではないし、粟の部分だけで
良いので何とかできないことも無いだろう・・。
粟が採れる様に土作りをする為にどうしたらよいのだろう?、いろいろと調べて勉強しました。

土中堆肥作り (06/7/28)
「土づくり」の要諦は、土壌の微生物相を豊かにすることによって団粒構造を作り上げるという事に
ありそうです。 問題はその具体的な方法です。
検索している時に土中堆肥作りという方法があるのを知りました。 
土中堆肥作りとは、収穫後の残渣、ワラ、籾殻などと一緒に嫌気性菌(リサール酵産のカルスNC
-R)を土中にすき込み、土の中で嫌気性の微生物の力で堆肥にしてしまおうという実に合理的な
方法です。 (参考文献 未熟有機物を生かす 嫌気性微生物農法 農文協)

作物の収穫後には沢山の残渣がでます。特に雑穀類の茎などは莫大な量がでるのですが、一般
的には枯れた茎など炭素率の高い物は窒素飢餓を起す為そのまま土壌にすき込んではならない
とされています。本来はそれを利用して堆肥作りに励むというのが常道だと思いますが、実際問題
としては莫大な労力を要する為にやりたくてもできない、仕方ないので春になってから集めて焼却
という事をやっていました。 せっかくの有機物なのに勿体無いなぁと思いつつ・・。
ところがこの方法だと収穫後に残渣を土壌にすき込んで還元できるのですからこんなありがたい
方法はありません。残渣を焼かずに土壌に返せるというだけでも素晴らしいことです。
今年はひまわりと穂ひえの茎の残渣をこの方法によって処理する予定です。
今までは秋は収穫作業が忙しい事もあって、来年の為に秋処理するということは考えた事もありま
せんでしたが、これからは土作りの為に土中堆肥作りという秋処理をやっていきたいと考えています。

2007年のあわ作り 
土を作るといってもすぐに万全な土壌をつくるというわけにはいきませんので肥沃な畑となるまでの
間は対処療法的な方法も必要であると考えています。 具体的には以下の通り

1、来年の粟栽培区で今年収穫できる収穫残渣については秋のうちに土中堆肥作りの処理を
  行う。 
2、来春は早めに耕起して苗の定植前に圃場を準備する。耕起時には土壌改良資材を使用
  する。
3、栽培区の土壌診断を行い不足する養分を有機肥料で補う。

今年大豆が鳥の食害を受けて失敗し、こきびと早生白ひえを蒔きなおした所が来年の粟栽培予定
地です。 収穫後のこきびとひえの茎を秋処理して土中堆肥にしたいと思います。

土壌改良資材はオイスターネオ(牡蠣化石粉末)とポーマンP(鰯と大豆を主体とした土壌活性浄化
剤)を使用する予定です。
寒冷地農業を知り尽くしたTAC土壌研究所が選定しており、現場圃場での実践効果が立証されて
いる有機資材です。
土壌診断も行い、必要な有機肥料も使用予定です。

以上、これだけの対処をすればとりあえず大丈夫だろうと考えています。
それでも失敗した場合は・・・頭を丸めます。 (笑)
上手くいけばそれで良し、失敗した場合でも又改善策を考えて行く良い機会となります。
成功しても良し、失敗しても良し、どちらに転んでもハッピーハッピーです。

緑肥〜古くて新しい基本技術 (06/7/29) 

「緑肥」とは農業界でよく聞く言葉です。
北海道でもひまわりの里として有名な北竜町が花が散った後のひまわりを緑肥にしてすき込む事
によって連作しているというのは有名な話ですし、北海道特産品としてつとに名高い「今金男爵」
は、もともと連作には強いジャガイモをあえて毎年は作らず緑肥も入れた五年輪作で栽培して
ブランドを保っています。 テレビで放映されていたのを見たことがあります。
北海道の大規模畑作では、間に緑肥を入れた輪作にする事が奨励されており、大事な農業技術
とされています。

ただ、北海道は寒冷地という制約がある為一年一作です。 雪がとけて畑が乾くのが5月の中頃
収穫は10月の中ごろまで、末には雪が降ってくる為、この五ヶ月の間だけが栽培期間になります。
一年中作物を作りまわせる暖かい府県では緑肥をすき込んだ後に栽培するという事も可能でしょ
うが、北海道で緑肥作物を栽培するとなると、その年は緑肥作物を栽培してすき込むだけで終わ
ってしまいます。 まるまる一年畑を緑肥作物の為に遊ばせなければならないのです。

ですから、これは広大な畑を所有する本農家(ほんとうの農家)に許された贅沢な技術だと思って
いました。一年間遊ばせることが出来るだけの広い面積の畑、茎を裁断するチョッパー、トラクター
等の大型機械が必要です。何とも羨ましい話で、とても贅沢な技術だと思っていました。
私もせめて三町位耕作できれば、輪作の中に緑肥も取り入れて一年休ませ、余裕を持った中で
やっていけるでしょう。 作物の組み合わせにもよりますが、有機肥料も不要な無肥料栽培にする
事はいと安き事と思います。 たっぷりと緑肥をすき込む事ができればそれ以上の肥料分は必要
としない事は自明の理です。
だが悲しい事に私の耕作面積はわずか一町三反、緑肥を栽培して一年休ませるだけの余裕が
ありません。
「私が農家だったら・・・」 しかし、無い物を悔やんで見てみても仕方がありません。
与えられた環境と条件の中で頑張るだけです。

雑草緑肥栽培

緑肥、緑肥、そんな事を考えてながら畑仕事をしているとハッと気ずきました。
私の畑には雑草が沢山生えているじゃないか、わざわざ緑肥作物を栽培しなくたって勝手に生え
て来てくれる雑草が山のようにあるのです。
「これだ、これしかない。」 雑草も太陽のエネルギーを固定してくれる大切な植物資源です。
雑草を緑肥として積極的に活用して行くべきだと気ずきました。
雑草が畑を肥やしている〜今まで強く意識した事がありませんが、そう思って考えてみると思い
当たる節が幾つかあります。
今年ほとんど生え切れて失敗してしまったこきび、ここは昨年すずまる大豆を播種したあとです
が、すずまる大豆も発芽率が悪くてあまり良く出来なかったところです。 刈り払による草刈が
主だったため、雑草有機のすき込みはあまり行っていません。
一度失敗した所は翌年も失敗する確率が高いです。失敗すれば栄養は吸っていないわけだから
翌年は良く出来ても良いようなものなのですが、意外とそうではありません。
生育に失敗すればもうそれ以上手をかけるという事はしません。大きくなった雑草を刈り払い機で
刈るぐらいです。翌春乾燥したところで集めて燃やしてしまいますので、有機物のすき込みは極端
に少なくなってしまいます。これも原因の一つになっているのではないかと考えられます。

今年は茶きびも失敗しましたが、ここは去年の采豆と小豆跡です。
去年は小豆の手入れはあまりしませんでした。除草回数も少なかったのです。
采豆は小さいうちに一度除草するだけで支柱を立てた後は草取りはしません。
収穫後の残渣も春に集めてきれいに燃やしてしまいますから有機のすき込みは極端に少なくなります。
采豆はあれだけ大粒の豆を沢山成らせるわけですから吸肥力が強いのも原因としてあると思い
ますがこんな栽培管理の仕方が後作に影響を与えているという事も考えられます。
雑草を緑肥として積極的に活用するという栽培管理を強く心がける事が安定的な栽培に繋がる
のではなかろうか・・。
勿論、株間の草取りや畝間に管理機をかけて雑草をすきこむと言う事は今までもやってきた事
ですがもっと強く心がけて栽培管理を改善する余地はまだ沢山あります。
この雑草を積極的に緑肥として活用するというのは、無農薬・無化学肥料栽培においてはとても
理に適った考え方です。
この観点からもう一度無農薬・無化学肥料栽培について考えてみました。

雑草緑肥栽培法 へ続く。

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