草は何故生える?

草は何故生えるのだろう?
普段はあまり考えてもみない事である。あたりまえにどこにでも生えているものである。
自然の摂理でそうなっているのだから、考えたってしょうがない事だろう。
だが、農業をするものにとっては、何故草が生えるのかは重要な問題である。
私も農業を始めた頃は、除草作業にはとにかく辟易した。取っても取っても次から次と切れ間
なく生えてくるのである。これは、農業経験のない人には説明してもなかなかわかってはもらえ
ないと思う。
農業者にとっては雑草は邪魔者であり、特に無農薬栽培においては、除草対策をどうするか、
という点をクリアしないと、栽培そのものがなりたたない。農作業=除草作業と言っても良い位
重要な問題である。

右の写真は簡易土壌測定器ドクターソイル。
土を乾燥させる事なく、採取した土をそのまま
計れる。
手で持ち運びのできる小型軽量の測定セツト。

2002年の春に、この測定器を用いて圃場の測定をしたことがある。
何箇所もはかっていく内に気ずいた事がある。
前年生え切れして収穫できなかった部分は、除草もしない為に春には既に草が生えているので
あるが、そうした部分は必ず異常なph値を示す、という事だ。
(土壌酸性の区分、ph7が中性、これより低いと酸性、高いとアルカリ性となる。土壌において
は、およそ5,5から6,5の間が適切とされている。)
正式な名前はわからないが、子供の頃よく食べたスッカンコという草の生えているところは
4.0から4.5位の強い酸性だった。
名前はわからないが、葉がゲジゲジの草の生えるところは、7から8のアルカリ土壌だった。
普通の畑においては、どこの部分であっても大体均一なph値を示すと思うが、この時借りていた
1町歩の畑は、もともと山林であり、植林していた木を切り払って畑にした所である。
ゆえに、枝を集めて埋めた所とか、集めた枝根を燃やした所とか、整地するために客土した所
とか色々であり、土質も一定しないなかなか難しい土地だった。
しかし、気をつけてよく見てみると、草もめたらやったらどこにでも生えてくるわけではない。
強酸性だったり、アルカリ土壌だったりする為に作物は蒔いても育たないが、そうした環境に
合った草は自然に生えてくる、という事なのだと思う。
これらのことから、自然の摂理は、土地を中和する方向で働くようになっているのではないか
と考える様になった。
作物の生育に適さない強酸性の土壌では、無数に存在する草の種のうちから、酸性に強い草
が生え、中性に向かって土壌をアルカリ化する。
アルカリの強い土壌にあっては、そうした環境でも育つ草が生え、土壌を酸化する。
植生は常に変化しながら、中庸に向かって進んでいくようにできているのではないかと思う。

生えている草の種類と状態から、その土地の状態がわかるというのが本当ではないかと思う。

近くの慣行農法の圃場に生えているスギナ。
スギナが生えたら肥やしをいれろ、
田舎の人なら誰でもよくそう言います。
スギナはスギナ茶として飲まれる位、滋養のあ
る植物です。
痩せた土地に生え土地を肥すのが
スギナという植物の働きなのではないかと
思います。
  圃場の端の方には、スッカンコと共生して
  いる部分がある。スギナはカルシウムの
  かたまりとも言われているところから、この
  部分は特に良質のカルシウム不足にある
  のではないかと推定します。
  私なら、良質なカルシウム資材である、
  オイスター、と米ぬかを多投したい
  ところです。


スギナの例をだしました。全国的にはどうなのかはわかりませんが、スギナが生えたら肥やしを
入れろという事は、このあたりでは良く言われている事です。
スギナの生えているような所ではあまり良く取れないということを経験的に知っているからだと
思います。
私の疑問は、他の植物についてはどうなんだろうという事です。自然には秘密はなく、嘘もはっ
たりもありません。その土地の状態をあますところなく情報開示しているのが植物の植生なので
はないかと思います。ただ残念な事に今の私にはその秘密を解くだけの知恵がありません。

分析機関からの土壌分析によっても、機関によって正反対の結果が出ることもあり、微量な
要素を検出するだけに、分析環境や検査員の技量によっても左右されるのが化学的な土壌
分析というものです。絶対とはいえないものだけに、これらを参考として活用しながら、ひたすら
自然を観察する以外にありません。自然からのメッセージを素直に受け取れるようになるのが
目標です。

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