今年の栽培法

今年は多収が目標。土作りに力を入れることで確実な収量を確保したいと思っています。

1 有機肥料の使用 (植物はどのように成長するか、焼畑農法と自然農)
2 緑肥と有機のすき込み (自然の循環型)

植物とはそもそもどのように成長するのか、改めて少し調べてみました。
植物が光合成によって必要な栄養分を自ら作り出す事は誰でも知っています。
それと同時に根から吸収される無機養分(窒素・リン酸・カリなど)が不可欠とされています。
無機養分が不足すると他の条件がどんなに良くても効率よく光合成ができないそうです。
植物が生長するには、水・空気・太陽光の他にも、土中の無機養分が不可欠のようです。

農業の現場では、普通は無機質原料(鉱石など)を化合合成されて作られた化学肥料を使用します。
自然状態では枯れた茎・葉が積み重なり微生物に分解されることによって無機養分が蓄積されて
いきますが、農業では収穫物を畑から持ち去ってしまいますので、収奪してしまった分の栄養素は
還元してやらないと畑がだんだんやせてくるという事になるのだろうと思います。
純粋な自然農法と言って良い「焼畑農法」においては、四年ぐらいで耕作を放棄し、新しい場所に
移っていくのが普通です。自然に返して地力の回復を待ち、数十年後には又帰ってくるというサイ
クルの中で、焼畑農法は成り立っています。
せっかく切り開いた場所なのですから、永く畑として使えた方が良いわけなのですが、永い経験の
中から、決してそんな無茶な事はしないわけです。
これは新しい土地でも四年位しか持たないという経験則なのだろうと思います。
土地を畑として維持していく為には、無機養分又はその原料となる有機物の還元が不可欠である
というのが結論として出て来るのだろうと思います。

無機と有機
アバウトには、炭素を含まないものを無機・炭素を含むものを有機と言いますので、この有無は
炭素の有る無しという意味になります。
もっとも、二酸化炭素(CO2)は炭素を含みますが無機に分類されていますので、一般的には
「生きて生命活動を営むものを有機」 「死んで分解されたもの、命のないものが無機」 と考えた
方が解り易いかもしれません。
光合成とは「太陽エネルギー」を固定するという作用ですが、無機の炭素を有機化するというふう
に言えるかもしれません。
植物の生育とは無機を有機に変換し、又無機へと帰っていく炭素循環であり、生命系は炭素支配
であると言って良いのかもしれません。
人体の乾燥重量の三分の二は炭素だそうです。 生命活動に炭素が深く関わっているのは
事実のようです。

さて、生育に必要とされている無機養分に戻りましょう。
この無機養分、何がどれくらい必要でどのように吸収されて利用されているのかについては
いろいろと研究されているようです。 私は研究者ではありませんので詳しいメカニズムまで解明
したいとは思いませんが、植物が生育するために必要な無機養分とは何か、生産者としてはここ
をきっちりと捉えてしかるべき手を打たなければならないのだろうと思います。
確かにどんな土壌でも作物が生育するわけではありません。
今の畑は今年で七年目ですので六年やったことになりますが、安定して収穫できないのはやはり
土壌中の無機養分不足と言って良い様です。
何年続けてやっていても、ただ栽培しているというだけでは土壌は肥沃化してきません。
「植物にとって生育しやすい良い環境の土壌作り」、これが今年からのテーマです。

野の草は肥料もやらず手をかけずとも立派に育つ・・・確かにこの通りですが、これはその場所が
人の手の入っていない自然のままの状態の原野だからです。
しかし、畑は人間が開墾して手を加え、少なくとも数十年、場合によっては数百年に渡って人間に
利用されてきたという宿命を持つ土地です。
除草剤を撒き、殺虫剤をかけ、殺菌剤を打ち込み、化成肥料のみで連作する。
あるいは堆肥万能信仰から厩肥のみで単品ばかりを連作して土を酷使する。
こんな状態で使われてきた土地がほとんどでしょう。 土が壊れてしまっているのです。
こんな状態の土地でいきなり有機農法に転換したらどうなるか?
自然農法を目指して頑張っても報われるものだろうか?
以前は有機農法に転換しても上手く行かないという話を良く聞きました。 自然農法を目指す人が
少ないのもここに原因があるように思います。 必ず失敗するからです。
慣行農法畑から自然農に転換するには三年必要、その後に良くなるなどと言われているようです
が自然が数百年・数千年かけて行うことを三年程度でできるものでしょうか?
三年程度で元の自然状態に戻るということは難しいんじゃないかなぁ。
場合によってはそういうケースもあるかもしれませんが、どんな畑でも可能というわけには行か
ない事だと思います。

一方、有機肥料も使用しない無肥料栽培という考え方もあります。
今は毎年の肥料投入で塩基過剰になっている土地も多いと聞きます。 土地の肥満ですね。
こんな場合は一度肥料分を切る事によって良い効果が現れるのかもしれません。
無肥料のままで今後、二十年三十年と収穫し続けることができたならこれは素晴らしい事ですが、
そんなに上手く行くかなぁ? 
ケースバイケースですので、今無肥料で上手く行っている場合もあるかもしれませんが、普遍性が
ある様には思えません。
肥満の場合はダイエット、痩せている場合は栄養補給。 土地でも同じ事だと思います。

自然の循環型 
正月に「ハワードの有機農業」という本を読みました。
有機農業と名の付く本は今までに読んだ事がないのですが、古典的な名著であるらしいので勉強
するつもりで読みました。
文中に「自然の循環における全ての有機性の廃棄物を土壌に還元すること」という一節がありました。
なるほど、「自然の循環とは有機物の土壌還元か!!」
土壌に還元すべき有機物に注目する農法だから有機農業って言うんでしょうね。
その方法として、堆肥作りに励んだり、C/N比(炭素と窒素の割合)に留意した炭素投入を行った
り、塩基バランスに留意した施肥設計をしたりと色んな方法に細分化して行くのでしょう。
どんな方法をとるにしても、自然農法の要諦は自然の循環の法則に素直に従うこと、作物の輪廻
の輪を断ち切らないことに、あるように思います。
外的条件や細かいやり方の相違ではなく、「自然への畏敬と感謝の心で農業を営むことができる
人」
が本当の意味での自然農法人と言えるような気がします。

正月には夏の間は読めなかった現代農業誌もまとめて読みました。
2006/10月号土肥特集にとても面白い記事が載っていました。
「モミガラは表層生施用で土に命を宿す」と題した徳島県の福徳進一さんの事例です。
完全無農薬で、生のモミガラと魚粉だけで、ハウスで葉物野菜を年間7回出荷しているそうです。
夏にはビニールを剥いで緑肥用のソルゴーを栽培する等の工夫もされているのですが、これは
凄いやり方です。
北海道では生のモミガラを畑に撒く人はまずいないだろうと思います。
分解されずに何年もそのままの形で残るからです。
暖かい四国のビニールハウスの中でやられていることですし、長年に渡る工夫によって生の
モミガラでも難なく分解できる土壌になっているのだろうと思います。
このやり方を北海道の露地畑でいきなり真似する事はできませんが、目標とする成功事例の
ひとつであると思います。生のモミガラと魚粉だけで7回転するというのはとにかく凄いことです。

良い環境の土壌づくりを目指して
今年からはこれをテーマに勉強しながら栽培法を工夫して行きたいと思っています。
具体的には、
イ、豆・雑穀の収穫残渣を米糠と共にすき込む。調整時に出るクズ豆・雑穀殻も畑に戻す。
ロ、周りの山林の落ち葉や枯れ草(木質のもの)も集めて投入したい。
ハ、生えてくる雑草を緑肥として活用する。八月中に収穫する物については緑肥の導入を検討
   する。
ニ、塩基飽和度80%の土地になるまでは天然の有機肥料の投入を行う。
ホ、三年ほどを目安にしていますが、徐々に肥料の使用を抑え有機物の投入のみで持続的な
   生産が可能な土地にもって行く。
へ、寒冷地における自然農の農業技術を完成させる。

以上、今年の栽培にあたって現時点で考えていることです。   2007/1/20


有機肥料 今年使用する予定のものです。

魚体の水溶性タンパクを米糠に
吸着させ乾燥成型したもの。
成分保障のある有機肥料
はあまりありません。
カキ貝化石粉末。
主な成分は石灰10% 珪酸40%。
優良粘土モンモリロナイトを30%
程含み、土壌改良効果が高い
と言われているカルシウム資材
です。
マグキーゼ
塩田からでる苦汁から作られた
天然の硫酸苦土肥料。
海のミネラルを畑に還したい
ものです。
メインに使用するのはこの四つの資材です。 この他には、
米糠・残渣とすき込むカルスNC-R(嫌気性微生物資材)
収穫したクズ豆なども使用する予定です。

これらは畑全体に使用するわけではなく、作物ごとに
加減しながら使用する予定です。
窒素8%、燐酸5%の
混合水産肥料(魚カス)です。

作物の収穫量
農作物といっても実に様々なものがあるのですが、収穫量の面から見てみましょう。
各一反(300坪)あたりの平均収量ですが産地によって異なってきますのであくまでも目安です。

まず代表的な野菜である大根は5t(5000Kg)、人参・ごぼうで3t、ねぎ・玉葱なども5t。
メロンが3tほど。 代表的な果菜であるトマトで10t、きゅうりは8t、イチゴだって4t。
今はイチゴの6t取り9t取り技術というものもあります。 
果樹もいろんな種類がありますが、平均2-3t位かなと思います。

野菜でも果樹でも大体これぐらいの収穫量があるのが普通です。
では、雑穀や豆はどうかというと、だいたい三俵から四俵。キログラムにすると平均200Kg程度
です。 トンに直すと0.2tです。
トマトやキュウリと比べるのは論外ですが、人参・ごぼうと比べてみても十分の一以下の収穫量
しかありません。 収穫量が少ないと当然収入も少ないわけですから、反収が少ない面は大規模に
栽培する事によって補うしかありません。 
無農薬・無化学肥料栽培をされている方でも、米や野菜を栽培されている方が多いようです。
豆や雑穀を栽培している人はなかなか見つけることができません。
まぁ、少しでも収入の良い物を作りたいのが人情ですからこれは仕方ありませんね。
私も町に近い場所なら野菜を作るでしょうし、わざわざ反収の少ない雑穀や豆を栽培する必要は
ありませんよね。

収入の面はひとまず置いておく事として、問題なのは土壌の肥沃度の問題です。
仮に反収量300Kg取れたとしても、人参に比べたら十分の一です。
では、人参畑の十分の一の肥沃度で無事に収穫できるのかという話になります。
収穫量からみたら、人参畑の肥沃度を10としたら、雑穀や豆などは1で十分だという話になります。
もともと豆類などは肥えた畑だと徒長してしまって実を付けなくなるので痩せ地の方が良いと言わ
れています。 ひえ・きび・あわなどの雑穀もこんな感じで栽培されてきたものだと思います。
雑穀や豆などは本来は撒けば取れるという感じでなければおかしいのです。
野菜畑程の肥沃度は必要としないはずです。
でも実際にやってみるとそんなに上手くは行かないもので、安定して収穫できるということには
なりません。 それでどうするかをいろいろ考えることになるのですが、だいたい野菜畑の半分程度
の肥沃度で十分なのではないかと思っています。
収量が少ないからといって十分の一では無理で、5・半分程度の肥沃度は必要だろうと思います。
(収穫量を考えるととても不経済な作物です。)

次の問題点。 農法や農業技術は、野菜や果物のより高品質のものを沢山取る(多収)ことを目的
としています。 山間地で豆や雑穀を自然農法で栽培して半自給的に生きていく、というような
人間ははなから想定していません。 まぁ、仕方の無いことですが、反当4t・5t・10tとって高収入
を目指す、研究機関もその方法をいろいろと研究しているわけです。
なので、ほどほどの肥沃度を目指している私にはなかなかピタッと来る農業技術というものがありま
せん。 何もかにもが高度すぎるのです。勉強してもなかなかキリがありません。
私のこれからの方向性は半分の肥沃度を目指すという事になりますが、各作物の特性などもだい
ぶ掴んで来ているので、もう数年で安定栽培に入れるのではないかと思っています。
ただ畑を肥沃にしたってしょうが無いことです。勿論肥沃でなければ育ちませんので、ギリギリで
育つ程度の肥沃度とはどれ位のものかを見極めていくのがこれからの課題です。  (07/1/30)
 
作付け計画
今年は全体的に作付け面積を減らして80a程度にしようと考えていたのですが、各作物の必要量
を計算しながら割り振ってみると80aではどうしても足りず、合計では110a(11反)になりました。
耕作可能面積は12反ですが、残り一反は作付けせずに地力の回復を計りたいと思っています。

あわ-17a きび-23a ひえ-19a 燕麦-16a 豆類-26a その他-9a です。
(豆類ー黒大豆・えりも小豆・大納言小豆・白鶴の子大豆・青大豆・くらかけ大豆・とら丸)

施肥量の計算
土壌診断をすると各栄養素のバランスー塩基バランスを整えることが大事だと言われます。
カルシウム:マグネシウム:カリの土壌含有率の割合のことです。
カルシウムとマグネシウムはミネラル肥料とも言われます。この二つと窒素・リン酸・カリで必要
栄養分の80%を占めるそうで、これらを五大要素と呼ぶ場合もあります。
畑は良質のカルシウムと極端なマグネシウム不足から、塩基バランスが壊れた飽和土の低い
土地になっています。
塩基バランスを調整し、飽和度60%になるように計算された結果に基づき、土壌改良剤として
10aあたり、オイスターネオ5袋(100Kg) とマグキーゼ3袋(60Kg) を施用する予定です。
これは三年ぐらい続けてみて、バランスの回復具合を見てみる予定です。
バランスさえ回復できれば、飽和度自体を必要以上にあげる必要は無いと考えています。
バランスを回復するまでは投入するという考え方です。

日高西部地区の畑作物施肥標準は次のようになっています。(Kg/10a)
燕麦 6-10-8 (窒素-リン酸-カリ)
大豆 2-15-8
小豆 4-15-8
春撒小麦 8-15-8

この施肥標準というのは全国各地にありますが、あくまでも必要な養分を化学肥料によって投入
するという慣行農法の場合の標準ですから、この数字をどのように考えるかという問題は残ります
が今年は一応必要とされる窒素分の投入をオーガニックによって行う予定です。
燕麦の場合は必要とされている窒素分は6Kgですから、オーガニックを4袋(80Kg)投入して様子を
見てみます。
もっとも、残渣をすき込む土中堆肥や雑草緑肥の効果も徐々に出てくると思いますので、肥料
使用は三年ぐらいを目途にしています。

ミネラル資材によってバランスが回復し、土中堆肥作りと雑草緑肥の効果によって土壌が肥沃化
してくれば、育成種である燕麦と多肥を好むあわ以外の作物は無肥料に移行していけると思って
います。
養分要求量がまるで違う作物を入れ替えて輪作していくと言う点にも無理があるため、連作部分も
設けて様子を見ていきます。 土壌が肥沃でさえあれば連作しても差し支えないのかもしれません。
                                                 (07/2/2)

慣行ー有機ー自然農法 (07/3/8)


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