種子物語
オリザ

世界を大きく分けると、米文化圏と麦文化圏とに大別できると思います 。
米はそのまま食べて美味しいので、米粒食を主とする食文化であるし、米の取れない気候風土においては麦類が作られるが、そのまま食べても美味しくないので、粉にして加工するパン食文化になる。
日本では石高で表するような米本位性の国であったし、近代以前は日本人のほとんど全てが農民であったわけだから、稲作文化を抜きにして日本は語れないと思うし、こめは日本人の魂そのものといって良いのではないかと思う。 稲に対する郷愁は抜き難く、日本人のDNAに組み込まれているのではないかと思います。
いつかは米を作ってみたいと思っていましたが、なかなか田圃は借りられないので、今年は畑で陸稲を作ってみることにしました。

今はほとんどが水稲であり、それすら減反で作付けできないわけですから、わざわざ陸稲を作る人はいないと思います。 今まで栽培しているところを見たこともありませんし、作っているという話を聞いた事もありません。どうやら北海道ではまったく作られていないようです。
いまでも比較的栽培されている茨城県の農業総合センタ−農業研究所 作物研究室の資料を見ると、
陸稲の奨励品種としていくつかありますが、この中で「トヨハタモチ」という品種が良さそうです。極早生品種とありますので、北海道でも収穫できるかもしれません。

 陸稲・とよはたもち  種籾は財団法人・一灯園農事研究所から購入しました。(05/1/29)  

古代米
今は古代米といわれる、黒米・赤米が作られています。テレビのニュースで取り上げているのも良くみることができます。 日本において稲作文化が始まったのは水稲が伝わった弥生時代からと言われているようですが、それ以前の縄文時代から、すでに色素米と言われる古代陸稲が既に作られていたようです。
いくら古代米といっても、今は田圃で作られていますので全て水稲扱いですが、もともとは陸稲として作られていたはずですから、畑でも取れないことはないだろうと思い、やってみる事にしました。
北海道の気象条件で、かつ陸稲として作れる品種を探してみるのは結構骨がおれました。

いろいろ探してみましたが、陸で作れる陸稲系の古代米は存在しないようです。
古代米とは言え、実際のところは全て水稲であり、弥生時代以降の色素米という方が正確らしいです。
弥生時代だって古代なのだから、その子孫という意味では古代米と言っても良いのかもしれませんが、全ては水稲である以上、お米を白米・はくまいと言うように、たんにあかまい・くろまいと言うほうが正確かもしれません。
いまでこそ北海道は全国一の収穫量を誇る米どころ・大産地ですが、これは戦後のごく最近の話であって、開拓初期の明治時代には、米のとれない地域でした。開拓移民のなんとか米を作って食べたいという不屈の意志が、研究によって寒冷地に合う品種開発に結びつき、やっと北海道でも取れるようになったわけですから、そもそも寒冷地に向く昔の品種などはなかったようです。
先日地主さんにも聞いてみたところ、「陸稲を作っていたという話は聞いたことがない。戦後の食糧事情の厳しい時には、皆きび・あわ・ひえ等の雑穀は作っていたが、誰もそんなものは作っていなかった、そんないい物があったなら皆作っていたはずだ。」  なるほどと納得しました。
実際には北海道でも、色米はあちこちでつくられているのですが、全て改良された色素米の種類である水稲であることがわかりました。
それなら特に古代米という程のことでもなく、こだわる必要もないので、畑での栽培は断念する事としました。

しかし、米への愛着断ち切り難く、ならばということでビニールハウス内でバケツ栽培をしてみる事にしました。

古代米の種籾は 千葉の古代米苑 増田様 より送って頂きました。 (05/2/4)

古代赤米 紅飛鳥
        (べにあすか)

古代赤米には珍しいもち種の赤米。
鳥の食害を一番受ける良味、
やや晩生の品種。

鑑賞用古代稲 緑神子
           (みどりみこ)

鉢植えできる特殊な古代の稲。
全てが緑色で稲らしい盆栽稲。
見事な出で立ちで背が低く、
繁殖力が大盛で
生け花用にしても大変よい。
観賞用古代稲 紫神子
          (むらさきみこ)

稲全てが紫色に輝く。
背が低くぽっちゃり系で容姿端麗。
ドライフラワーにしても
色の変わらない一倍人気の品種
古代稲の説明文は、古代米苑のウェブサイト 古代米 から引用させて頂きました。

                                                       
麦・各種
麦の種子を探してみましたが、これは予想以上に難しいことでした。
粒の大きなものを大麦・小粒なものを小麦というのかなぁ、という程度の認識しかありませんでしたが、調べ始めてみると、麦というのは実に奥の深い栽培作物でした。
北海道には、有名な「きたゆたか」という春蒔き小麦があります。時々テレビで放送していたのを見ていましたので、簡単に手に入ると思っていたのですが、ところがどっこいでした。
まず小麦というのは、誰もが家庭菜園などで作る作物ではありませんから、一般の種苗店で販売しているわけではありません。 更に麦類の栽培は大規模畑作農家に限定されており、ほとんどの農家が既に作っておりません。
作付け奨励金の関係もあり、流通と種子は全て農協が管理しており、伝の無い者が種子の入手をするのは極めて難しいことでした。
ここで麦について少しおさらいしておきましょう。
小麦と大麦は、同じイネ科コムギ属に分類されていますが、作物分類上は、全く別の作物です。
日本では、粒の大きさではなく、重要な・大切な麦と言う意味で、大麦となり、
小麦はそれほど重要ではなく、(米があった為、パン加工用の小麦は特に必要とされなかった) たいした事ない麦という意味で小麦といわれていたようです。
今の麦類の種類には、
o 六条大麦〜皮麦・皮が固いので精白してから、ご飯にまぜての食用・味噌等の加工用等に利用。
o 六条大麦〜同じ大麦でも、皮のないはだか麦があり、うどんなどに加工されていました。
o 二条大麦〜これはいわゆるビール麦であり、ビール醸造用の麦です。北海道でも富良野地区で栽培
          されているようです。
o  小麦 〜これは言うまでも無く、パン用に利用される麦です。
  以上を四麦と総称しており、麦類の仲間です。
 
福岡正信翁の「わら一本の革命」にも麦に関する記述がありました。
要点を幾つかにまとめてみますと、
とにかく、農林省の方針、日本の農政の方針というものは、出発点というか、原点というか、
農業とは何かという事、何を作るべきかということが、まるではっきり解っていない。
結局、アメリカ産の小麦は日本の湿潤な気候にあわない。
日本にあうのは、昔から作られている裸麦・大麦・めん用小麦である。
日本で最も作りやすいのは裸麦であり、麦飯・パンを作れる。

これらの点を基にしてもう一度良く考えてみると、まず麦自体の需要がないので、作れるはずの大麦・裸麦はもう既に栽培されなくなった。唯一需要のあるのはパン用の国産小麦であるが、この小麦という種類の麦は日本の気候風土に合わず極めて栽培が難しい。収穫期に雨に当たって全滅することもあるので、ほとんどの農家が栽培を諦めており、道内でも栽培している農家は極めて限られている。 とこんな感じになります。
よってもう既に栽培されなくなった作物なので、種子自体がもうどこにも存在しない、という事であるらしい。
困ったもんである。そこで、今年は「春蒔き裸麦」にしぼって栽培してみることにした。
北海道の優良品種として、数多く登録されており、ほとんどが在来種である。北海道でも、昔はこの裸麦が広く栽培されていたのであろうと思う。その中から、網走地方で栽培されていた「北見はだか」がよさそうです。
他に方法はないので、ジーンバンクからの交付を受ける予定です。            (05/2/2)

秋蒔き小麦「きたのかおり」の種子を、十勝のトビさんに送って頂きました。
北海道有機認証協会の指定講習会で知り合った十勝の畑作農家の方で、なにかと親切にして頂いております。 この「きたのかおり」は北海道の奨励品種ですが、秋蒔き用の小麦です。
春に蒔いても差し支え無いということで、思ってもいなかった裏技です。
トビさんありがとう〜。                                 (05/2/15) 


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