自然農の実践


           今年からは自然農の実践(不耕起)も畑の一部で開始したい。
南側17aのうち、15aは去年作付けせずにそのままほおって置いた場所。
今年はここに、「うるちとうもろこし」と「ひまわり」を定植します。
育苗して定植するものは不耕起でもなんら差し支えはありません。
17a全部に定植するわけではありませんので、未利用部分はそのままにして不耕起二年目にし
ます。
その他9aのうち、育苗して定植する「えごま」と「アマランサス」は不耕起にします。
ひえ穂8aのうち、東側3aは粗植一本植えとし、ここも不耕起にします。

自然農の実践  耕さず、肥料・農薬を用いず、草や虫を敵とせず
農作業が終って冬になると発送が主な仕事になる。それも一月中にはだいたい終ってしまうので、
二月・三月はほとんど何もする事が無いぐらい暇になる。 勿論冬の間はゆっくり休む期間なので
身体を休めながら今年の栽培計画を練ったり作業の段取りを考えたりしながらのんびり暮らす。
夏の間は読めない本等もこの時期にまとめて読む。
「自然農-川口由一の世界」を再読していて気づいた事があった。

自然農法の四原則は、無農薬・無肥料・不耕起・無除草であるが、
不耕起・無除草というのがどういう事か、今までは良く解らなかった。 
勿論今までに自然農の研修など受けたことはないので、イメージとして湧いてこない。
農薬・化学肥料は使わないけれど、畑を起こして除草するというごく常識的なスタートになってしま
ったのもやむを得ない。
この不耕起・無除草というのは、表裏一体の関係で、畑は起こしたら必ず除草が大変な作業にな
ってくる。 無除草(なるだけ除草しない)という事を目指すには、土を耕起せず作物残渣を積み重
ねて残渣の有機物マルチを張る以外にはない。

耕起したら駄目ですね 
川口さんが自然農に切り替えて最初の二年間は全く収穫がなく、三年目から移植の方法(栽培)
に切り替える事によって収穫できるようになったそうです。 
何故耕しては駄目なのでしょう?
不耕起にして残渣を積みあげ土の上に植物体積層を形成するという点にポイントがありそうです。
耕起せず作物残渣を積み上げて行く事によって下のほうから自然に堆肥化してきます。
1年・2年では無理でも3年・4年と続けていく事によってこの植物体積層がだんだん厚くなって
きます。急激に発酵させた堆肥を使用するのではなく、土の上に積み重ねて自然にゆっくり堆肥化
させていく、無肥料で大丈夫なのもここにポイントがあるように思います。
つまり自然農とは、
土の上に形成された自然堆肥の上で栽培するというイメージが正しいように
感じます。私の捉え方は正確では無いかもしれません。
しかし、農業・農法というとどうしても土(つち)という考え方から離れる事は出来難い事ですから、
「土じゃないんだ、堆積させた植物体積層にポイントがあるのだ」と言われた方がかえって納得し
易いように思います。
土じゃないんだから土作りなんて一切無視して自然農は成り立つ、逆に土に拘るから自然農に
転換できないのだ、こんな感じになるのではないかと思います。

ここに来ると自然堆肥の下にある土壌がどうであっても特に問題はなくなります。
土は離れないと自然農法にはなりません。 土作りと言って土壌から離れられない農業とかみ
合わないのはここに有るかもしれません。
不耕起にして植物体積層を形成する自然農法と、あくまでも土にこだわる農法とではやはり
次元が異なってきます。

今年は畑のうち、ほんの一部での実践となります。
自然農の考え方は理解できたとしても、実際の栽培技術をどのように適合させていくかという
問題(課題)は残ります。
苗植えするものは自然農の考え方でそのままいけるのですが、問題は種を直播する場合です。
収穫残渣をそのまま振りまいて置くといっても、冬の間は冷凍保存されている為、春になったら
そのままの形で畑に残っています。 こんな状態ではさすがに種は蒔けません。
雑穀の種は小粒ですから、播種をどうしたら良いだろうという点に解決の目途が立ちません。
さすがに全部を育苗して一本ずつ定植していくというのは労力的に無理です。
とりあえずはできるものから自然農に切り替えて行き、三年・四年経った時に表面がどのように
変化してくるものかを観察したいと思っています。
その頃には解決のヒントが見つかっているかもしれませんし、なんとか工夫の余地はあるはずと
思っています。                     (08/2/16)

自然農法とは何か?
わら一本の革命、21Pにこんな記述があります。
「あらゆる一切の事が必要でないというような条件を作る農法。 そして、この三十年かかって、
やっと 中略 というところまで来た。」
つまり、無農薬・無肥料・不耕起・無除草の四原則を実現するのに三十年かかって条件づくりを
してきた、という意味だと思います。
文中には「乾燥鶏糞をアール当たり20-40Kg散布する」という記述があります。(45P)
元肥で鶏糞反当200Kgというのは、これはかなりの量です。無肥料と言っても元肥の鶏糞は
使用しているわけです。
「緑肥田に生わらと鶏糞を蒔いて灌水すると、酸酵現象が起こり若い雑草を枯らし夏草の発生
をピタリと抑える」(61P)とあります。 水の出し入れで除草しているわけです。
54Pには、雑草対策として三段構えの方法が紹介されていますが、草は草で制する為に、三段
構えで条件作りをしたという苦労が忍ばれます。

なんでこんな事を書くのかと言うと、多分農業をした事がない素人の人がこの本を読むと、何も
しないでホイホイと収穫できる素晴らしい農法だと誤解するだろうと思うからです。
少なくとも私はそうでした。畑を起こさず・肥料もやらず・草も取らずに収穫できればこんな旨い話
はありません。
例えて言えばこんな感じです。
クリームも使わず、眉毛も書かず、口紅もつけない、不要な事は一切しないで綺麗になれる。
これは素晴らしいですね。お化粧する時間も要らないし購入する金も不要だ。帰宅してからメイク
落としする必要もないのだから極めて楽チンです。
しかし冷静に考えてみると何もせずにスッピンのままで化粧したより以上に綺麗になることは可能
でしょうか? もし可能だとしても若いピチピチお肌を維持する為に食事制限や各種エクササイズ
など極限の努力が要求される事になるだろう、とは容易に想像できることです。
一方、ナチュラルメイクという方法もあります。お化粧していないように見せる自然なメイク法ですね。
お化粧していないように見せるメイク法ですから、なかなか時間もかかって大変なようです。
つまり自然のお顔に見せる為にはそれなりのナチュラルメイク術が必要になるという事ですね。

自然農法の四原則は、三十年かかって条件づくりをすれば到達できるという結果の形であって、
四原則のままで最初から上手くいきますよという意味ではないと思います。
自然農法の四原則を実現する為には、その為の条件作りが必要で、テクニックが要求されます。
つまりはナチュラルメイク農法であってスッピン農法ではないわけです。
これが悲しい事に私のような素人は自然農法はスッピン農法だと勘違いしてしまうわけです。
どおりで、何年やっても上手くいかない訳です。
ナチュラルメイク農法の技術をもっと良く学ばなければならなかったわけです。
そのメイク術・条件作りの方法は、その土地、作物によってそれぞれが工夫して行かねばならない
ものなのだろうと思います。
川口さんも最初の二年は失敗したが、三年目に育苗・定植の栽培に切り替え、草を刈り、除草も
多少はするという方法で不耕起栽培を確立されました。

自然農法の流れ
自然農法と呼ばれるものには、福岡翁・川口さんの他に、MOA自然農法の流れがあります。
此方は不耕起・無除草は捨て、緑肥やすき込みによって育土・土作りをしていくと言う考え方が
主流です。
大雑把に分けてみると、
1、自然農法・自然農
2、無農薬・無化学肥料・耕起して土作りを目指す自然農法
3、原則無農薬・無化学肥料、耕起して土作り、有機肥料も多投する有機農業
こんな感じになるかなと思います。

1と2の最大の違いは耕起しないで頑張れるかどうかという一点にかかっています。
軽油を撒き散らしながら走っているようなトラクターを使っていて自然農というのはちょっと苦しい
感じがしますし、なにより不耕起であれば、経費や仕事の軽減に即繋がる事ですから、実務上の
メリットもとても大きなものがあります。
今の私は2と3の中間あたりに居る感じになると思いますが、やがて2から1へと進んで行きたいと
思っています。

自然農法というのは、やはり農業技術というよりもその人の生き方そのものです。
その人の人生に於いて農業を営むと言う事をどのように位置づけるのか、によってその人の農業
形態が変わってくるのだろうと思います。
私も私なりに、この地で無理なく成り立つ自然農法の確立を目指して進んで行きたいと思ってい
ます。                         (08/2/22)

  戻る