シードの秘密


何も食べなくなってしまった小鳥が私のところの殻付きシードは食べてくれた言うご報告は
今までに何件か頂いております。

こうした例が1〜2件であればそういうこともあるのかなぁで済む話なのですが、三件・四件と続くと
やはり何らかの秘密があるのかな? 他のものは食べなくなってもわたしのところのものを食べる事
ができるということは何らかの違いがあるはずだと思うようになりました。
もとより無農薬・無化学肥料で栽培している安全な物ですが、身体にも優しいということを病弱な
インコが証明してくれているのかもしれません。 ここのところをちょっと考えてみました。

タネの肥毒
農業人がよく読んでいるものに、農文教が発行している「現代農業」という月刊誌があります。
読み物としてもとても面白く、私も定期購読して毎号読んでいます。
その、2006年2月号にとても面白い記事が載っていました。
「無肥料で育つニンジン品種が誕生するまで」という題の、千葉県の自然農法家のインタビュー
記事です。
勿論自家採取を続けてこられたわけですが、タネがその畑になじむようになるまでに三年かかる。
四年目から固定されてきて、品種として完成するにはほぼ八年かかる。逆に言うと八年でどんな
品種も自分の畑に合うそうです。
また、「タネの肥毒」を抜く為にも自家採種は必要といわれています。
無肥料で作物が健全に育つようになるためには、土の肥毒(今までに畑に投入してしまった余分な
肥料分のこと)を抜く事が大事になってきます。肥毒が抜けると作物が急にのびのびと育つように
なり病気も害虫も寄らなくなります。 「だが、土の肥毒を抜いただけでは不十分で、それに合わ
せてタネの肥毒を抜く必要があるのです。」と言われています。
「肥毒の抜けたタネを使わない限り、無肥料栽培では収量は上がらないし、病害虫がよってたか
って駄目にしてしまう。だから、肥毒を抜く為に自家採種を続けているのです。」

タネにも肥毒があるというのは、とても面白い考え方です。
私が栽培している南部早生ひえ・こきび・あわは岩手県の雑穀マイスター高村氏から分けて頂いた
ものですが、当時としては珍しく、高村氏は既に有機認証を受けて無農薬栽培をされていました。
その種子を譲り受け、以後六年間無農薬栽培しながら自家採種してきたものですから、タネの
肥毒は抜けきっていると考えて良いでしょう。
茶きびは三年前に近所のおばあちゃんが自家用に栽培していたのを譲り受けた物です。
穂ひえは今年初めて収穫したものですが、早く穂が出た出穂期の早い物を選別して来年の
種子用に保管していますので、今後は土地と気候に合ったひえ穂になっていくでしょう。
最初の四年間はまったく収量が上がらずに(イコール収入ゼロ)大変な思いをしてきましたが
それでも諦めずに辛抱して続けてきた結果、自然とタネが肥毒ゼロのナチュラルシードになった
のではないかと思います。
勿論、この「タネにも肥毒がある」というのはあくまでも仮定の話であり、一つの考え方にすぎません。
しかし、このように考えてみると、他のシードは食べないが私のところのシードは食べるという事の
説明が上手くつくと思うのです。 私のところのシードは肥毒ゼロのナチュラルシードであるから、
身体の弱った小鳥でも抵抗無く何とか食べれる。一方肥毒のあるシードはさすがに危険を感じて
(鳥には何らかの嗅ぎ分ける能力があるようです)食べたくても食べれない。
こんな感じになるのではないかと思います。

ならば、種子を鳥用の食餌として利用しようと思う場合のポイントはただ一つ。
そのシードが完全に肥毒の抜けきったナチュラルシードであるかどうか、それをしっかり確認
できるかどうかという事だけです。
無農薬栽培であってもオーガニックの認定を受けた物であっても、そんな事はあまり関係がありません。
オーガニックのものであっても肥毒の抜けていないシードであれば何の役にも立たないからです。
(勿論、健康な個体の場合は何でも良いでしょう。あくまでも何も食べれなくなってしまった病弱な
個体の場合には、という意味です。)

同じ種類の品種を栽培しても畑によって、栽培人によって味に違いが出てくるのは否定できない
事実です。
味が違うという事は、含まれている成分が違うからです。 という事は中の内容が違うという事に
なります。 見た目にはまったく見分けがつかなくても、味に違いがあるのは、野菜でも果物でも
なんでも同じです。 食べて美味いと感じさせない成分、それが肥毒であると考えると更に納得
できるのではないかと思います。
タネの肥毒を抜くのは一朝一夕にできることではありません。固定されるまでは最低三年、収量が
無くても何とか取れたものから種子を選抜して作り続けていく根気と決心が有って初めて達成さ
れる事です。
                              (06/1/28)

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